弁護士ブログ
残業代が2倍になる??付加金について弁護士が解説
2020年2月27日
名古屋丸の内本部事務所弁護士 渡邊 健司
付加金という言葉をご存じでしょうか?付加金は,労働基準法114条に定められており,労働基準法37条の残業代(割増賃金)等を支払わなかった使用者に対して,労働者の請求により使用者が支払わなければならない金額と同一額の支払いを命じることができるという制度です。この制度の趣旨は,労働者保護の観点から,支払義務を履行しない使用者に対し一種の制裁として経済的な不利益を課し,その支払い義務の履行を促すものであるとともに,労働者に生じる損害を補填するものと考えられています。付加金は,労働基準法114条に「請求により」と定められているとおり残業代の未払いによって当然に発生するものではなく,残業代の支払いを求める訴訟において,裁判所が支払いを命じることが必要です。
付加金の支払いを命じるか否か,支払いを命じる場合の付加金の額については,使用者による労働基準法違反の程度,態様,労働者の不利益の性質,内容等初犯の事情を考慮して決定すべきとされており,裁判所に裁量が認められています。 また,付加金は労働基準法違反があったときから2年以内に請求しなければならないとされており(民法改正に伴い,今後この期間を伸ばすことが検討されています),請求期間が限られています。
この点からも,未払残業代がある場合には,早期に弁護士に相談し,付加金とともに請求することを検討していただきたいと思います。
残業代の時効
2020年2月20日
愛知総合法律事務所 弁護士 渡邊 健司
残業代の請求には期限があります。
労働基準法115条は,賃金の請求権について2年の時効(消滅時効)を定めており,残業代についてもこの規定が適用されます。
月ごとに給与が支払われている場合,残業代の請求権も給与の支払日から2年の消滅時効にかかるため,何年にもわたって未払残業がある場合であっても2年分しか請求できないことになります。
そのため,残業代を請求するかどうかためらっているうちにどんどん権利が消滅していくことになりますので,未払残業代の請求を検討している場合には,(実際に請求を依頼するかは別にして)早急に弁護士に相談すべきです。
弁護士がご依頼を受けた場合,その時点では未払残業代があるかはっきりしないことも少なくありません。その場合,弁護士が会社に残業代を請求する旨の内容証明郵便を送ることで(これを催告といいます),時効の完成が6か月間猶予されます。その間にタイムカード等を用いて残業代の有無,金額について計算を行い,会社に対して残業代を請求して交渉しますが,猶予されている期間内で示談による解決が難しい場合には,訴訟を提起することで時効を止めることができます。
2020年4月に施行される新しい民法では,これまで多数定められていた短期の時効期間が廃止され,原則として5年に統一されることになりました。それを受けて残業代の時効についても今後5年に改正されることが議論されています(当面の間3年とされるようです)。
時効期間が長くなることで労働者にとって残業代を請求しやすくなると思われますが,いずれにしても,早期に弁護士に相談し,請求を行うかどうかを検討することが重要です。
残業代請求についてお悩みの方は、ぜひ愛知総合法律事務所へご相談ください。
※この記事では,法律の改正について記載しております。最新の改正に関する情報については,正確な情報をご確認ください。
残業代請求専門サイトの開設
2019年12月27日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊 健司
平素より、弁護士法人愛知総合法律事務所のホームページサイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。
弁護士法人愛知総合法律事務所では、この度、残業代請求に特化した専門ページを立ち上げました。
労働基準法では,原則として労働時間は1日8時間,週40時間までと定められており,その時間を超えて労働をした場合には残業代を支払わなければならないと定められています。
しかし,世の中の全ての企業において,現実にそのとおり適法に残業代が支払われているわけではありません。「サービス残業」という言葉があるとおり,残業をさせているにも関わらず,あたかも労働者が自発的にやっていることであるかのような体裁をとって,残業代を支払わないことが横行していると言われています。このようなサービス残業の事例では,労働者自身が,残業代を請求できないものと思い込んでいるケースも少なくありません。
また,残業代を請求できると認識している労働者であっても,実際にいくらの残業代が請求できるのか,どのように請求すればよいのかがわからず,現実に残業代請求の行動に出ることができない方も多いと思われます。
旧来,日本では,残業が当たり前で定時に帰るのはむしろ悪とされ,サービス残業を疑問視しない風潮があったと言われています。しかし,昨今,「働き方改革」も叫ばれる中,企業においても厳格な労務管理が求められるようになる一方で労働者から未払残業代を請求することも珍しいことではなくなり,ご自身が,残業代を請求できるのか,請求できるかについて関心を持つ方が増えてきています。
現実にご自身が残業代を請求できるのか,できるとして残業代がいくらになるのか,どうやって請求すればよいのかについては,労働法に関する専門的知識がなければ判断できません。
弁護士法人愛知総合法律事務所では,ご相談内容に応じて,残業代を請求できるか,請求できるとすれば,実際にどのように請求をしていけばよいのかについて弁護士と社会保険労務士がチームを組んで助言し,実際に労働者を代理して残業代を請求していく場面では,交渉はもちろん,労働審判や訴訟も行っていきます。
是非一度弁護士法人愛知総合法律事務所にご相談をいただきたいと思います。