法定労働時間・所定労働時間とは
残業代の計算方法
残業代(時間外手当)は、基礎賃金×時間外の労働時間×割増率という計算式で算定します。
労働時間の原則
使用者は、原則として、労働者に対し、1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないとされています(労働基準法32条1項、2項)。これを「法定労働時間」といいます。
また、就業規則を定める場合には、使用者は、始業及終業の時刻、休憩時間、休日に関する事項を定めなければなりません(労働基準法89条1号)。労働契約に定められた始業から終業の時刻までの時間のことを「所定就業時間」、所定就業時間から休憩時間を除いたものを「所定労働時間」といいます。
法定労働時間を超えて労働をした場合には、労働基準法上、残業代請求をすることが認められています(労働基準法37条)。
また、所定労働時間を超えて労働をした場合には、労働契約に定めがあるときに限り、残業代請求をすることができます。
休憩時間について
使用者は、労働者に対し、労働時間の途中に、労働時間が6時間を超える場合には最低45分、8時間を超える場合には最低1時間、労働者が自由に利用できる休憩時間を付与しなければなりません(労働基準法34条)。
たとえば、会社からどのように休憩時間を過ごすかを決められてしまう、自分の座席を離れて休憩をとることができないといった場合には、休憩時間が与えられたことにはなりません。使用者は、休憩時間が確保できない場合には確保できるよう終業時間を遅らせる等の措置を採る必要があります。
たとえば、待機時間、始業前の着替えの時間や掃除の時間については、労働時間となるのでしょうか。
まず、待機時間については、労働時間として認められる場合と認められない場合があります。裁判例によれば、労働者にとって、必要が生じれば、直ちに対応することが義務付けられている場合には、労働時間として認められることになります。
始業前の着替えの時間や掃除の時間についても、労働時間として認められる場合と認められない場合があります。裁判例によると、実態を踏まえた上で、着替えや掃除が使用者によって義務付けられている場合には、労働時間として認められることになります。
ワンポイント
労働時間には、法律に定められた法定労働時間と、契約上定められた所定労働時間があります。
また、待機時間や始業前の着替えの時間や掃除の時間についても、労働時間として認められることがあります。
できるだけ長い労働時間が立証できれば、それだけ多額の残業代請求ができますが、実際には、立証が難しく、泣き寝入りに至ってしまうこともあります。泣き寝入りしてしまう前にぜひ弁護士までご相談ください。